多職種連携の在宅医療で住み慣れた自宅で心豊かな生活を
勤医協札幌病院 広報誌vol.19(2017.10月発行)より
勤医協札幌病院では開院以来50年にわたり、在宅医療を継続しています。
「地域に根ざし、保健予防から在宅医療まで、無差別・平等の医療を実践」という方針を第一に掲げ、
「人生を豊かに過ごすための医療」を近隣の医療機関や介護事業所と連携しながら包括的に提供しています。
在宅医療
在宅医療
近隣の8つの在宅療養支援診療所と一緒に
「連携型の機能強化型在宅療養支援診療所(病院)」を届け出て、充実した在宅医療の提供を目指しています
近隣の8つの在宅療養支援診療所と一緒に
「連携型の機能強化型在宅療養支援診療所(病院)」を届け出て、充実した在宅医療の提供を目指しています
近隣の8つの在宅療養支援診療所と一緒に「連携型の機能強化型在宅療養支援診療所(病院)」を届け出て、充実した在宅医療の提供を目指しています
- 患者さんが安心して療養生活を送ることができるよう訪問診療を継続。急性増悪時などには24時間対応し、必要に応じて往診が可能な体制を確保しています。
- 訪問看護ステーションとの連携で24時間訪問看護の提供が可能な体制を確保し、検査や入院が必要になった場合には受け入れる体制があります。
- 在宅での看取りにも対応しています。
医師と看護師が2人でチームを組んで患者さん宅を訪問します。
患者さんの人生を豊かにするために訪問診療という側面から支援します
患者さんの人生を豊かにするために訪問診療という側面から支援します
在宅でできる医療は日々進歩しています
在宅でできる医療は日々進歩しています
多くの病院では少し前まで「治らない病気を最期まで入院で治療する医療」が行われており、「在宅医療では何もできない」という誤解が医療者にも患者さんにもありましたが、最近では在宅でできる医療も増え、ケアの体制も充実してきました。
勤医協札幌病院は在宅療養支援病院(機能強化型・複数連携)として、近隣の8つの在宅療養支援診療所や勤医協中央病院と連携しながら、多職種協働による24時間365日体制の在宅医療を提供しています。
在宅診療部では、医師と看護師2人1組のチームで自宅を訪問して診療を行い、登録患者さん約200人の「日常のあたりまえな暮らし」を支えています。
また、要望があれば眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科の往診も行っています。
情報共有をスムーズにしたネットワークシステム
情報共有をスムーズにしたネットワークシステム
訪問診療先で医師は診察をしながら、勤医協札幌病院の電子カルテシステムにつながったノートパソコンに患者さんの全身状態や診療内容、治療方針などを入力(カルテ記載)します。
診察が終わったら、その場でプリントし、患者さんが所有する「訪問診療記録ファイル」につづります。
このファイルには服薬情報や検査結果も含まれ、ケアマネジャーや訪問看護師などとの情報共有ツールにもなっています。
医療と介護の各専門職の迅速な情報共有と連携が、患者さんや家族の変化に応じた勤医協札幌病院の柔軟な在宅医療の継続につながっています。
在宅医療を地域で支えるために
在宅医療を地域で支えるために
地域の在宅医と主要な病院との連携を強化しています
在宅医療には、訪問診療を行う医療機関だけではなく、急性増悪時の入院など、在宅医療をバックアップする病院との連携が欠かせません。
白石区と豊平区では、在宅医同士の連携に加え、在宅医療を行う医師とそれを支援する病院医師との間で定期的に懇談会を開催して、情報交換や対応改善、連携強化などに取り組み、地域全体の在宅医療の充実を目指しています。
在宅診療部 部長
澁谷 直道(しぶや なおみち)
Profile
1979年 北海道大学卒
気管支鏡専門医
日本医師会認定産業医
ICD認定医
ケアマネジャー
認知症ケア専門士
認知症サポート医
患者さんから学んだ私の「在宅医療」
30年以上にわたり在宅医療に携わっています。
高齢者の訪問診療では一般的なガイドラインやエビデンスはあまり当てはまりません。患者さんの病態や背景、思いなどは一人一人違いますし、言葉や行動には生活と人生に裏打ちされた意味があります。
「ああ、そうだったのか」と毎日が学びの連続です。勝手な先入観や既成概念で相手を捉えずに、ありのまま受け止めることを大切にしています。
病院は病気を治すための場所ですから、当然治療が最優先になります。在宅医療は患者さんと家族に向き合いながら、人生を豊かにするために医療者として何ができるかを探ります。医療の本質を問い続ける仕事にやりがいを感じています。
訪問診療 看護師の役割
訪問診療 看護師の役割
円滑なコミュニケーションで多職種連携を支えます
患者さんや家族と信頼関係を築くことを重視しながら、患者さんがこれまでどう生きてきて、これからどう生活していきたいかを日常の訪問診療時につかみ取るようにしています。
患者さんにとっての「あたりまえな暮らし」を支援するために、医師や専門スタッフと相談しながら、必要な医療サービスを見極めて提案し、訪問看護やデイサービスなどの外部関係機関と迅速に連携し対応しています。