チームで支える安全重視の手術治療:手術室 - 麻酔科医
勤医協札幌病院 広報誌vol.18(2016.11月発行)より
麻酔科医の有無が医療の質を左右
麻酔科医の有無が医療の質を左右
安全な手術には適切な麻酔管理が欠かせません。麻酔科医は麻酔に必要な設備を常に整え、手術の特性や患者さんの体質に配慮して適切な麻酔方法を計画します。全身麻酔、硬膜外・脊髄くも膜下麻酔、ブロック・局所麻酔などを組み合わせながら、手術中の患者さんのそばで全身状態を観察します。
麻酔科医がいない病院も少なくありませんが、術中に緊急事態が発生したり、重篤な合併症が出現した場合は、麻酔科医による的確で迅速な処置が必要になることから、麻酔科医の有無が医療の質を左右すると言っても過言ではありません。
産科麻酔の豊富な経験で超緊急手術にも対応
産科麻酔の豊富な経験で超緊急手術にも対応
当院の麻酔科が2015年に関わった手術件数は249件です。2015年の分娩件数393件のうち、帝王切開は105件で88件が麻酔科管理でした。34件が分娩停止や胎児徐脈などによる緊急手術です。赤ちゃんの命を救うために、手術室には「帝王切開手術用セット」を常備し、一刻を争う超緊急手術に対応する準備とチーム医療体制を整えています。
帝王切開術では、脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔と術後の硬膜外持続注入によって、つらい痛みを取り除き、離床や授乳を開始する時間を短縮させています。
新生児蘇生への取り組み
新生児蘇生への取り組み
当院当院の麻酔科で開催している公認の新生児蘇生(NCPR)講習会が、
2016年8月までに20回を数えました。受講生は院内外の医師や助産婦、
看護師など合計113人に達しています。当院の認定者は産科医と小児科医の8割、病棟助産師約20人のほぼ全員です。
院内の周産期スタッフ向けに昼休み30分を利用した「NCPRリハビリ講習会」を定期的に実施し、
「予測不能な新生児仮死に遭遇した際にも後遺症なく蘇生できるスキル」を維持できるように年1回以上の蘇生トレーニングを継続しています。
手術部長・麻酔科科長
林 泉(はやし いずみ)
●1979年 札幌医科大学卒
●麻酔科専門医・指導医
●新生児蘇生(NCPR)インストラクター
※2013年から公認の新生児蘇生(NCPR)講習会を開催。